« 水カフェ | トップページ | 再び弦交換 »

2013/07/29

のらくろ小隊長

20130729norakuro01  20130729norakuro02

この「のらくろ漫画集」は、戦前のまんが「のらくろ」の雑誌連載版を文庫本4冊にまとめたものです。出版が「昭和51年」となっているように、私が小学生のときに買ったものです。

この第3巻は、のらくろが少尉〜大尉のときの話です。この中に、「のらくろ小隊長」という話が載っています。同名の「のらくろ小隊長」という単行本がありますが、これとは別です。当時は、単行本は雑誌連載をまとめたものではなく、新たに書き下ろすものだったのだそうです。

これが、どうにも納得のいかない話なのです。以前、やはりこの話を「おかしい」ととりあげていたブログを見ましたが、見つからないので、ここに書いてみることにします。


舞台は「猛犬連隊」という犬の軍隊です。おもな登場人(犬)物は:

のらくろ少尉 小隊長。
デカ一等兵 のらくろの部下の兵士。
ブルドッグ大佐 猛犬連隊の連隊長。

猛犬連隊の兵営で、デカと仲間の兵士が話している。「しばらく戦争がないな。たまに戦争をしないと腕がうなってこまるよ」「のらくろ少尉殿にたのんでみたらどうだろう」

兵士たち「少尉殿 どこかへ攻めていきましょう」
のらくろ「ばかいえ 猛犬連隊は正義の軍隊である。理由もなく戦争をおこすほどやばんではない。戦争がなくて世の中が平和なら これほどけっこうなことはない」

こういういきさつがあって、裏の山で実戦形式の演習を行うことになる。山で兵士たちが塹壕を掘っていると、カエルが見物に来て、兵士たちが追い返そうとする。

カエル「穴をほるのなんか見たっていいじゃないか」
兵士「塹壕の堀り方にも秘密があるんだ」

といい、なおも「見せろ」と食い下がるカエルを兵士が蹴飛ばす。

カエルは「いじめたことをお前の隊長に告げてやる」といって、のらくろのところにやってくる。ところが、のらくろはカエルが大の苦手で、とびあがって逃げてしまう。

調子に乗ったカエルは、仲間をつれて3匹でのらくろをからかいにやってくる。デカが銃床でカエルを殴って追い払う。

殴られたカエルたちは、カエルの大将に訴え出る。大将は、猛犬連隊に軍使を送り、謝罪させようとする。

カエルの軍使が猛犬連隊の本部を訪れ、ブルドッグに大将の手紙を手渡す。ブルドッグは手紙を読むが、

ブルドッグ「なんじゃいこりゃあ わがはいはなんにも知らんことだぞ」
カエル軍使「あんたは知らなくても、あんたの部下がらんぼうしたのです。あやまり状をかきなさい」
ブルドッグ「そんなら、のらくろ小隊へ行って言え」

と、カエル軍使を追い返してしまう。

カエル軍使はのらくろのところに行くが、のらくろはやはり逃げてしまい、デカが軍使を殴って追い返す。

軍使の報告を聞いたカエル大将は、軍勢を整えてのらくろ小隊に向かって攻めてくる。のらくろは「弱い者ほどガスを使いたがるのだぞ。防毒面(ガスマスク)をつけろ」と兵士たちにいうが、兵士たちは「カエルなんて石をぶつければつぶれるだろう」と油断している。そこへ攻めて来たカエルが毒ガスを撒き、防毒面をつけていたのらくろ以外は全員体がしびれて動けなくなってしまう。

周りをカエルの軍勢に囲まれてしまったのらくろは、連隊本部に救援を求めようと、山にトンネルを掘って進んで行くと、やはりトンネルを掘り進んできたカエルが爆弾を仕掛けたところに出くわす。のらくろはカエルを見て逃げかけるも、気を取り直して爆弾をくわえてトンネルを進み、爆弾をカエルの陣地に投げ返す。

カエルの陣地が爆発し、ブルドッグが様子を見にやってくる。そこにはカエルの死体が累々。

ブルドッグ「爆発のあとはさんたんたるものだな いくさはなるべくしたくないものだ」「ところで、誰がやったのだろう?」
のらくろ(後ろから現れて)「自分であります」

のらくろは今回の手柄により勲章を受ける。デカも上等兵に昇進。


この話、非は8割がた犬のほうにありませんか?とくに、犬の兵士とカエルの小競り合いに対して、カエル大将はしかるべき「外交ルート」を通して事をおさめようとしているのに、ブルドッグはのらくろに押しつけて知らん顔、のらくろはデカに押し付けて知らん顔で、地位に応じた責任をとるつもりがまったくありません。それなのに、のらくろは勲章を受け、そもそもの原因を作ったデカは昇進しています。

作者は、この漫画を通じて、子供たちに何を語りたかったのでしょう? 冒頭でのらくろのいう「正義の軍隊」なんて、所詮こんなもの、ということでしょうか。最後のブルドッグの「いくさはなるべくしたくないものだ」という台詞が実に白々しいです。カエルを皆殺しにしたくせに。

そもそも、「どこかへ攻めて行こう」という導入部からしてヘンです。

« 水カフェ | トップページ | 再び弦交換 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 水カフェ | トップページ | 再び弦交換 »

フォト
2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

浅野晃のサイト

無料ブログはココログ